『………最悪』
けれどとっくにマネージャーに鍵を閉められてしまったようで、はあと、俺はため息。
今日も怒られるか…と思ったとき、校舎に小走りで向かっていく顧問の姿を見つける。
一浦先生なら部室の鍵を持っているかもしれない───ただそれだけの理由で俺は彼を追いかけたのだ。
『強制的に退部、させられちゃうかも……っ』
『…なんでだよ。なにかしたのか』
『お母さんのことっ、うちのこと、楽器のこと馬鹿にしてきたから…っ、先生にすごいこと言っちゃった……』
俺は一浦 遥人という男を尊敬していた。
高校時代はサッカーのユースリーグにスカウトされていて、大学時代は留学をしてレベルの高いサッカーチームに所属していた経歴を持つ。
そんな先生がこの鈴高に来たと知ったから、俺は本当は県外の強豪校に行く予定だったが蹴ってまでも鈴高を選んだのだ。



