「先輩っ!」
ひとりで学校を出たはずが、どういうわけかわたしを追いかけてきた然くん。
女子生徒はポツンと取り残されているみたいでわたしも困惑するなか、彼だけは切羽詰まっているようだった。
「どうして!ダメだよ戻らなくちゃっ、あの子が…」
「遥人ってなんですか?いつも先生と一緒に帰ってるんですか?」
「へっ?せんせー?」
「一浦先生の名前ですよね、それ。…やっぱりにいな先輩は───」
「あーっ、ふふっ、ハルトはこの子だよ。わたしの楽器の名前!」
背負ったケースを見せる。
吹奏楽部は自分の楽器に名前を付けること、そしてわたしのトロンボーンくんはハルトという名前なこと。
しかし丁寧に教えたものの、逆に然くんの表情の雲行きは怪しくなった。
「ほ、ほら戻って?今日はきっと然くんにとっても記念すべき日になるよ~?」
「嫌です。先輩と帰ります俺」
「え」
「もし告白だとしても最初から受ける気なんてありません。興味すらないです」
「ひっ、ひでえ!!」



