あの放課後、先生と初恋。





わたしと正反対な程よい小麦肌は、日頃から太陽の下を走っている証拠。

改めて見ると、なんていうか女の子に人気がありそうな甘いルックスをしてらっしゃる…。



「じゃあ……来年も俺のために吹いてくれます?」


「えっ、わたしが…?」


「はい。先輩がうなずいてくれたら、俺はこのあと病院に行きます」



ええっ、そんなこと言われたら……!!

先生のためにもこの子のためにもうなずくしかっ!


こっくんこっくんと首を縦に動かせば、本当に嬉しそうに笑ったエースストライカーくん。



「俺、1年B組の黒崎 然(くろさき ぜん)っていいます。…皆木先輩はたしか、」


「あっ、にいなです!同じくB組のっ」


「…にいな先輩。俺、名前で呼びたいかも…なんですけど」


「どうぞどうぞ!お好きにっ」



黒崎くん。

それでいいかなと思っていると、みんな名前で呼ぶから名前がいい的なことを言ってくる。


………然、くん。


女子ばかりの吹奏楽部にとって、運動部の男子との会話がどれだけレアなことか。