「わざと転かしたよ今…!ねえ足引っ掻けたの見えたよね…!?」
「見えた見えたっ!負けてるからって最低!!」
「ふざけんなよーーー!!!そんなことやってるから負けんだよ…!!」
試合は一時中断。
仲間たちが寄っては囲い、審判も話し合っている。
大丈夫かな…、あの子。
いまだにうずくまって、すごく痛そう。
「どう考えてもレッドカードだろ!!さっさと退場しろ!!」
という声は応援スタンドからたくさんあったものの、結果はイエローカード。
その子はベンチに戻り、代わりの選手がフリーキックで追加点を上げた。
そして試合自体は勝利したものの、どこか複雑すぎる空気感で終えた準決勝。
もし決勝でエースストライカーがいなかったらどうなるんだろう……。
「みんな今日はお疲れさま!ゆっくり休んで、また明後日の決勝に備えよう!」
「「「はいっ!!」」」
わたしたちは現地解散。
電車とバスが使えるエリアのため、わたしの挨拶を終えると後輩たちは女子高生に戻って散らばってゆく。



