「つっっっかれた…………」
ヘトヘトだ。
みんなしてヘトヘト。
自分たちが文化部だということを誰もが忘れながら、下駄箱で靴を履き替える。
「だんだん分かってきたよね……」
「…うん。熱が入ると周りが見えなくなるタイプ」
「天才はみんなそんな感じだって、どっかで聞いたことあるよあたし…」
スパルタというより、ただ自分の好奇心のためだけにわたしたちを動かしているように思える。
綾部先生の指導はそういったものだった。
しかしながら、生徒たちは愚痴を言うものはひとりもいない。
「でも最後、キマッた!って思ったよね」
「うん、思った。ほんとにオーケストラにでもなっちゃった気分だったよ」
「わかる。先生が葉加瀬○郎に見えたもん」
「それバイオリンじゃなかった?」
でも来年うちら金取れるんじゃない───?という、ほのかに生まれつつある期待。
部員たちの会話を聞きながら、わたしも同じ疲労感と達成感を持って昇降口を出た土曜15:20。



