わたしにも分かった。
こいつはヤバい………と、思わせられる何かがあるって。
「ゴミだね。はい、次。……んー、これも幼稚園児」
もし、本当にこの人が新しい顧問だとするならば。
和久井先生のほうがマシだ、と。
ありえない。
ありえない感情になりすぎている。
「んじゃあ最後、その端っこのピカピカボーンの子」
…………とうとうわたしだ。
ピカピカボーン。
つまりそれは飼い慣らしていない新品トロンボーンということ。
初心者を表している皮肉だということも、今では理解している。
こんなのもう一か八かだっっ!!
おもいっきり息を吸って、ブアーーーー!!!と、鳴らせた。
「…………なるほど」
だめ………?
やっぱり不合格……?
これだけは爽快な音が響かせられるから、わたしは正直自信だけはあった。
するとこちらに向かってくる不審者さん。



