「あの日」
「私は檻の中にいた」
愛葉は琉生を見る。
少し照れながら笑った。
「凛月の作った檻」
「そして自分で閉じた檻」
風が吹く。
桜が舞う。
愛葉は琉生の手を握る。
今度は離さないように。
「そんな私を」
涙が滲む。
でも。
今度は幸せな涙だった。
「あなたは奪いに来てくれた」
琉生は少しだけ目を細める。
そして。
静かに言った。
「違う」
愛葉が首を傾げる。
琉生は照れ隠しみたいに視線を逸らした。
そして。
小さく笑う。
「迎えに行っただけだ」
その言葉に。
愛葉は笑った。
心から。
自由になった空の下で。
二人は歩き出す。
未来へ。
これからもずっと。
一緒に。
――完――



