騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!


「……殿下、今は公務中のはずですが」

「あら、いいじゃない。兄様が今遅れているのだから、明日到着するまで待つつもりよ。それよりもお話をしましょ」


 団長様は、その件に関して何も言わない。という事は……そういう事、だ。

 けれど、その後の殿下の言葉に、頭を殴られるような衝撃を受けた。


「〝私達の婚約〟の話、早く進めなくっちゃ!」

「殿下、それは」


 団長様が言いきらないうちに、殿下は団長様の腕に絡みついた。


「ここまでありがとう、女性騎士さん。この後も頑張ってね」

「……ありがとうございます。では、失礼いたします」


 頭を下げ、その場を離れた。団長様の顔は、一切見なかった。いや、見ることが出来なかった。

 私は、今の気持ちを顔に出さずに出来ただろうか。

 今の私にこう言いたい。

 何浮かれてるんだ。お前はただの騎士団員だろ。そして、底辺の令嬢。

 夢なんて見ていると、あとで後悔する。まさにその通りだ。

 さっきまでの私が恥ずかしい。