「失礼、一つお聞きしてもよろしいでしょうか」
そんな時だった。王城のメイドとは全く違う服を身にまとった女性が私に話しかけてきた。服装と、この国ではあまりよく見られない容姿。恐らく彼女は隣国使節団の方なのだろう。
「ロドリエス侯爵がどちらにいらっしゃるかご存じでしょうか?」
「ロドリエス侯爵、ですか……」
近衛騎士団長の居場所か……私は詳しくは知らないけれど、昼間の今であれば陛下のお近くにいらっしゃるだろうか。いや、でも副団長と交代して違う場所にいるのかもしれない。
「あら? あなた、女性の方?」
そして、彼女とまた違った高いトーンのお声のする方が私に話しかけた。とても華やかな赤いドレスを身にまとう方は、赤髪の綺麗な女性。私よりも年下だろうか。……いや、まごうことなく、今回ご来訪された、第三王女殿下なのでは……?
「あっ……ご機嫌麗しゅう、殿下。はい、女性の、騎士団員でございます」
「この国には女性騎士の方がいるのねぇ、ふふ、素敵だわ」
「……光栄です」
そんな花のように笑う御方は、本当に可愛らしい女性だと思った。それと同時に、素敵だと言ってくださる事が新鮮でどう受け止めればいいのか分からない。
殿下の口ぶりからするに、隣国では女性騎士がいないのかもしれない。珍しい、のか。
「私、ロドリエス侯爵を探しているの。案内してくれない?」
「……かしこまりました。ですが、把握はしておりませんのできちんとご案内できるかどうかは……」
「それでもいいわ。あなたの話も聞きたいの」
「……かしこまりました」
私の話を聞きたい。そんな事を言われるとは思ってもみなかったから、一体何を話せばいいのか全くよく分からない。ただ、質問に答えればいいのだろうか。
近くにいた先輩に一言伝え、まずは近衛騎士団員の方を探すことにした。誰か団長様の居場所を知っている人がいるかもしれない。となると、まずは近衛騎士団事務室か。
「貴方はご令嬢なのかしら?」
「はい、男爵家の一人娘です」
「あらそうなの。おいくつ?」
「22歳です」
地方騎士団に入れるのは16歳から。私は16歳の時に入団し、三年勤め上げてから王城騎士団に入り3年勤めている。だから今年で22歳だ。
殿下は今年で17歳。とても可愛らしい方で、クスクス笑う姿を見ればきっと殿方は惚れてしまうのではと思うほどだった。



