騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!


「テレシア」

「しっ失礼しますっ!」


 勢いでそんな大きな声を上げてから部屋を急いで出てしまった。少し強めにドアを閉めてしまい、後悔した。近衛騎士団長の執務室をこんな乱暴に閉めてしまうなんて、不敬だ。

 周りを見渡せば、誰もいない。よかった……あっ。

 話があれで終わりなのか聞かずに出てしまった……戻ったほうが、いい、のかな……?

 でも、騎士団員としてきちんと任務を遂行するためには……

 そう思いつつ、ドアをもう一度、少しだけ開けて中を覗くように首を伸ばした。


「……い、今ので、お話は、お済みでしょうか……?」


 私がさっきまで立っていた場所に、まだ団長様が立っていて、少し驚いているような顔で見ている。すると、クスクスと笑い始めてしまいそのせいで余計恥ずかしくなる。そして、私のところまで歩いてきては……


「あぁ、これからよろしく頼むよ」

「っ!?」


 前髪を避け、額に一つキスをしてきた。火照っていた顔が、それ以上に熱を帯びてしまい、また「しっ失礼します!」と逃げるように引っ込みドアを静かに閉めた。


「あぁ~~~もぉ~~~~!!」


 無意識に、心の声をさらけ出してしまった。後から気付いて、小さな声ではあったけれど絶対にドアの向こう側にいるであろう団長様に聞かれてしまったとまた恥ずかしくなってしまった。

 最近は、本当にダメだ。あの微笑む顔も、優しい声も……――テレシアと呼ぶ甘い声も。

 本当に、勘弁してくれ……