それから数日後、第三騎士団長にいきなり執務室に呼ばれた。
「近衛騎士団の方から要請が来た。ウチの女性騎士団員を派遣してほしいとのことだ」
「……派遣、ですか」
人払いまでされて一体何を言われるのだろうと危機感を持っていたけれど、近衛騎士団からの女性騎士の派遣と言われてしまい反応が遅れた。
確かに王城騎士団の中で女性騎士は私のみ。なら第三騎士団の私が選ばれるのだろうけれど、何故近衛騎士団が女性騎士を必要なのだろうか?
何となく、予測は付くけれど……その予測は当たらないでほしいなと思ってしまった。
「任務内容は聞いていないが、しっかりやれよ」
「はいっ!」
明日の早朝、近衛騎士団長の執務室に向かうことになってしまった。
デガルド団長が任務内容を聞いていないというところは引っかかるけれど、派遣という事は近衛騎士団の任務に参加する、という事。そんな光栄なことは他にはないけれど、エリート集団に私が入って粗相をしないだろうかと危機感も覚えてならない。
恐ろしくて仕方ない。冷や汗が止まらないな……
恐ろしさと危機感を覚えつつ今日の業務を終え、次の日となってしまった。そしてまた、この恐ろしい魔王城の扉を開くことになってしまった。昨日はなかなか寝付けず、気が付いたらもう朝だ。絶対に遅刻出来ないとすぐに飛び起き準備をして早めにここに来たわけだが……あぁ、帰りたい。
震える手で、コンコンッと魔王城の扉をノックした。
「第三騎士団所属テレシア・マーフィスです」
「入ってくれ」
不安が押し寄せる中、部屋の中に。狩猟大会後、いきなり女子寮の部屋に現れてはだいぶ褒められ……彼にとっては褒めたようだけれど……それから顔を合わせるのが今日。だから、変な事を思い出してしまいそうで緊張する。
今は職務中。彼は近衛騎士団長で、私は第三騎士団の女性騎士団員。そこを忘れちゃいけない。絶対に顔に出すなテレシア。
自分にそう言い聞かせ、彼の座る席の前まで進み止まった。
「悪いな、いきなり呼び出して」
「いえ、問題ありません。デガルド団長からは任務とお聞きしたのですが、どういった内容でしょうか」
「あぁ、潜入捜査に協力してほしい」
潜入捜査。女性騎士を、という事だったから薄々そんなところかと思っていたけれど、本当に来るとはと内心気落ちしてしまった。
とある外国人商人を追っているようで、これは第一騎士団が長期任務として当たっていたのだがなかなかしっぽが掴めていなかったらしい。けれど、誰かが裏で糸を引いている事は分かっているようだ。
そして今回とあるお屋敷で行われる仮面パーティーにその外国人商人が参加する。仮面パーティー参加者の中の数人がその商人の客らしく、仮面パーティーで商人と接触し取引をするらしい。そこを抑えるのか。
けれど、第一騎士団が担当していた任務を何故近衛騎士団が?



