第三騎士団の事務室には大きなテーブルにいくつもの椅子がある。けれど、そのテーブルの上はごっちゃごちゃだ。本が積み上がり書類のタワーまで。部屋は広いはずなのに狭く感じるのはこのせいだ。毎日後輩の私が整理しているはずなのに毎日こうなってしまうのは何故だろうか。
まぁ、その原因は分かっている。騎士団達は脳筋ばかりだし、そもそもこちらに来るべきでないものが来るのが悪い。
この中に混ざっている書類は、おかしな苦情ばかり。騎士団は便利屋か使用人かと勘違いをしてる貴族達が多い。お前らの子供達のおもりだなんてごめんだ。
王城内で始まった子息達の喧嘩を何故未然に防げなかったんだ、お前たちの責任だ。なんて言われた時には……危うくキレかけた。真剣を出していいのであれば止めてあげるが?
そんな事を思いつつ、事務室の隣にある第三騎士団長執務室に向かいウチの鬼団長ことデカルド団長にお茶を運んだ。
……この人、本当に目力が凄すぎてビビるのよね。デスクに座っているだけでも、ビビる。
「どうぞ」
「あぁ、ありがとう」
団長は綺麗好きだからいつもながらにデスクの上は綺麗だ。隣の事務室と比べちゃいけない。また団長に怒られる前にさっさと片付けよう。まぁ、明日になればまたごちゃごちゃになって心が折れるんだけれど。
けれど、それよりも今朝の事だ。もしあれが、近衛騎士団の方の制服だったとしたら……恐ろしい。
「マーフィス」
「はっはいっ!?」
さっさと戻ろうとドアに向かっていたその時。団長に呼ばれてつい声が裏返ってしまった。
いや、さすがに団長の耳には入ってないか。うん、だ、大丈夫だよね……
「……どうした」
「あ、いえ、何でもありません……!」
でも、これはさすがに動揺しすぎだ。落ち着け、大丈夫だから。……きっと。
「これを返しておいてくれ。本城の第二倉庫だ」
「かしこまりました……」
ドキドキと心拍数の早い心臓を落ち着かせ、二日酔いの頭を労りつつ、頼まれた資料の片付けの為何冊もある本を持ち本城に向かった。



