騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!


 ちらり、と小さくそちらに視線を向けると、彼は懐中時計を取り出しふたを開けて時間を確認していた。家紋のようなものがふたに刻まれた、懐中時計だ。


「名残惜しいが仕方ないな。ドレスは寮母に手伝ってもらうといい」

「……」


 さすがにドレスは着慣れていないし、普通誰かメイドに手伝ってもらうのが普通。だから最初からそのつもりだけれど……きっと私がお願いしたら寮母は驚くだろうな、と苦笑いしてしまいそうだ。いつ事前にお願いしようか……と思っていた時だった。

 耳元で、囁かれた。


「……サイズはきっとぴったりだから安心してくれ」

「っ!?」


 サイズっ!?

 その言葉に急に顔を火照らせてしまった。何てこと言い出すんだ! あ、いや、でも私のサイズを誰かに聞いたのか……と、焦っていると後ろから首を伸ばしキスをされてしまった。

 その事にまた顔の熱を上げてしまったけれど……後ろに戻った彼を視線で追うと、すぐに消えてしまっていた事に焦ってしまった。どういう事だか聞きたかったのに。いや、聞いて後悔するかもしれない。

 けれど、どうしてだろう……彼がすぐにいなくなってしまった事に、寂しくなってしまったのは。

 きっと、先輩達が皆会場に行ってしまい一人置いてけぼりにされてしまったからなのかもしれない。

 とはいえ、中々収まらないこの顔の火照りようの目撃者がいなかった事は幸いだけれど。

 また、ため息を吐いてしまった。私のドレス姿は、大丈夫だろうか。

 だいぶ不安になってしまった。