「はぁ……」
当然、このため息も誰の耳にも入っていない。
箱を開けていないからドレスが何色すら知らない。だから先輩のその予測は正解なのか今の時点では分からないけれど、奢ってくれる事は決まっているから何でもいいや。
そんな時だった。
いきなり、後ろから手が伸びてきて、私を抱きしめた。白い服に、袖は黒。そして、この匂い。振り向かなくても誰なのかすぐに分かった。そのせいで、声は抑えられても分かりやすい程に肩が上がる。
「私が贈ったドレス、気に入ってくれたか?」
「っ……」
低めのトーンの声。やっぱりそうだ、と納得してしまった。あのプレゼントボックスは近衛騎士団長が贈ったもの。けれど、ドレスが気に入ったなんて聞かれても、見ていないからそれは答えられない。とはいえ、それを正直に言う事は出来ず、とりあえず小さく頷いた。
「そうか、それはよかった。団服の君も素敵だが、ドレス姿の君も見てみたかった。私が選んだドレスを着る君が見られるのはだいぶ楽しみにしているんだ」
「っ……」
私のドレス姿が見たい、か。普通の令嬢とかけ離れた私のドレス姿なんて見るに堪えないだろうから、がっかりさせてしまうはずだ。
けれど……何故、がっかりされてしまう事がこんなに悲しいんだろう。



