騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!


「で、その落ち込みようは仲間外れにされたからか?」

「……仕事中ですよ、先輩」

「はいはい」


 狩猟大会で大忙しの王国騎士団ではあるが、私は会場に行かずずっと城で雑務ばかり。まぁ、警備に参加しないのだから仕方ないが。

 ガストン先輩は資料を取りに来たから一時的にこちらに来たが、ニヤニヤとこの状況を楽しんでいるように見える。酷い先輩だ。


「交流会に参加するんだろ? ドレスとかは? 準備出来てんのか?」

「……一応」


 まだボックスを開けていないけれど、一応ある。もしあの送り主が正解だったとしたら、何でもしますと言ってしまった手前あれを着ない選択肢はない。もし間違いだったとしたら急いでドレスを用意するが。

 先輩の言うこのテンションは、確かに仲間外れにされた事もちょっとある。けれど、久しぶりの面倒なドレスを着なくてはならなくなってしまった事。そして一番は、あの近衛騎士団長が用意したドレスはきっと上等なものだから、あれを私が着てしまってはもったいないのではと思ってしまっている事。

 ……団服が、恋しくなりそうだ。


「俺達、テレシアのドレスが何色か賭けてるんだよ。俺は緑だ。髪がハニーブロンドだからぴったりだろ」

「……後輩使って賭けなんてしないでくださいよ」

「その賭けた金でテレシアをねぎらってやるつもりなんだけど? 賭けに勝った奴とテレシアはその掛け金で何でも食っていいって言われてるからな」

「……誰にです?」

「副団長」


 なるほど、言い出しっぺは副団長か。後で文句を言いたいところではあるけれど、奢ってもらえるなら言えない。


「……お酒はやめてください」

「それ、俺に言ってるんか」

「他に誰がいるんです? この前だいぶ飲ませてきたのは先輩じゃないですか」


 また大惨事を起こすなんて、笑えない。

 それなのにいつも通りの調子で笑って出て行ってしまった先輩。途端に、部屋には私一人となり静かになってしまった。いつもなら第三騎士団の事務室はだいぶ騒がしいから余計静かに感じる。