騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!


「3人一組の態勢は絶対に崩すなよ!」

「はいっ!」


 今日は狩猟任務の日。ここ首都の周りには森が多いから、様々な動物達が生息している。狂暴化する動物もいるため王城騎士団には定期的に数を減らす任務を課せられている。

 そして、貴族達が揃って行う狩猟大会が目前に控えているため、今回は動物達の数も確認しないといけない。何と面倒な。

 当日は私達騎士団員も森の中に入り警備をする事になるから、騎士団にとっては本当に大変な大会だ。貴族のお坊ちゃん達が参加して重傷を負ってしまったら、最悪責任は全て警備をしているこちらになる。本当に迷惑極まりない。

 周りが甘やかして自信たっぷりに育ったお坊ちゃん達に危ないものを持たせて狂暴化した動物達の前に置いてみろ、最悪な地獄絵図が完成する。


「そっち行ったぞテレシア!」

「はいっ!」


 それに、久しぶりに城外で剣を振るっているからいつもよりも気合いが入る。昨日まで色々と頭の中が大混乱していたから考えないように全力で動物達を仕留めているわけでもあるけれど。

 なんて思いつつ、動物を一刺しで仕留めた。


「おぉ、一刺しか。やるな」

「小さいのは全部私にお任せください」

「大型は難しいくせして小さいのは確実に仕留めるからな、お前。さすが元近衛騎士団のマーフィス男爵の娘だよ」

「父は出さないでください」

「ははっ、悪い悪い」


 一応遺伝子というものがあるから、確かにそれもあるのだろうけれど。でもやっぱりその名前は出さないでほしいと私は思う。

 私は剣士の家に生まれたから小さい頃から剣を振っていた。女とあって力はなくとも仕留められるものは確実に仕留めますとも。

 ……半分八つ当たりなところもあるけれど。

 近衛騎士団長様の考えが全く分からない。興味本位で遊ばれているんだろうけど、これは一体いつまで続くのだろう。振り回されているのは分かってるけれど、それなら私は一体どうしたらいいのだろうか。

 あの執務室の魔王と、その帰り際に後ろから抱きしめてきたあの男性は、本当に同一人物なのかというところにも混乱してしまっているから困ったものだ。


「そっち行ったぞ~」

「はいっ」


 この状況をただ私は耐えればいいだけなの? じゃあ、どこまで続くの?

 よく、分からないな。


「こんなもんか?」

「このエリアはだいたい仕留めたか。一旦戻るか?」

「そうだな」


 昨日、気をつけてって言われたんだったっけ。ついさっき葉っぱで切っちゃったところ以外は無傷だ。これを傷と言うのかは分からないが。これくらい血を拭いて放っておけば治る。

 でも、何となく団長様に気付かれたくないと思ってしまうところもある。どうしてだろう……