……と、思っていたのだが。
「なぁテレシア、これ頼まれてくれないか?」
「何です? これ」
そう言ってきたのは、第三騎士団の副団長だ。
唐揚げ定食でお腹が満たされ、よし午後も頑張ろうと気合いを入れつつ第三騎師団の事務室前を通ったら……「おっテレシア!」と副団長に捕まった。
事務室の中は何やらがやがや群がって話してるなと思ったら、副団長が私の前に分厚く大きな封筒を。ついいつもの癖で取ってしまったけれど、これは何かの資料だろうか。結構分厚いな。
一体これは、何の資料だ。恐ろしいものが入っているような……そんな気がするのは私の気のせいだろうか。
「これを近衛騎士団長の執務室に持っていってほしいんだ」
近衛騎士団長執務室。その言葉に、つい耳を疑ってしまった。
「……はぁ!?」
「お前これからまた警備だろ。ついでに寄ってくれればいいからさ」
「ついでって何ですか! ついでって! 副団長が行けばいいじゃないですか!」
「俺は忙しいんだ」
何が忙しいんだ。ちらり、と副団長の向こう側にいる先輩達に視線を向けると、全員が目を逸らした。なるほど、誰も行きたがらなかったから私に押し付けたという事か。分かりやすすぎるな。
受け取ってしまったけれど、さすがに近衛騎士団長様のところには行きたくない。どうしてこのタイミングなんだと疑いそうだ。もしかして、何か気付かれた? それはそれで最悪なんだが。
「テレシア、副団長この前近衛騎士団の団長に睨まれたばっかなんだと」
「え……」
「おい、煩いぞ」
なるほど、一体どうして睨まれたのか聞きたいところではあるけれど、私これから警備だからこんなところでもたもたしていられない。このままでは私達と交代する事になっている先輩達に遅いぞと言われてしまう。
「酷い先輩方ですね」
「ほら、可愛い後輩には時に心を鬼にしてやらないといけないだろ? それだよそれ」
本当は自分が行きたくないだけなのに? まぁ、相手は悪魔なのだから行きたがらないのは分かるが。
はいよろしく、と強引に送り出されてしまった。今までは、近衛騎士団長に書類を持っていくなんて重要な事を任せてもらえる事はなかった。こういう時は大体中身が重要なものばかりだから。
それだけ私が成長出来たという事なんだろうけれど……ニコニコと見てくる先輩方に、殺意まで湧いてくる。
マジかぁ……



