騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!


 隣国使節団が来訪され、国際会議や親睦会などが行われ残すところ最終日のナイトパーティーのみとなった。

 昨夜は恐ろしい事になり、そのせいで朝から第二王子に会わないようにという危機感と、昨日の嬉しさが顔に出ないようにという緊張感、そして第三王女殿下との国際結婚の件は一体どうするのだろうという不安でいっぱいだった。

 もし、私と団長様が一緒にいたことが周りに知られたら……と思うと恐ろしくて仕方ない。誰の助けもなければ男爵令嬢の私は潰されてしまう。

 とはいえ、私はただの騎士団員で男爵令嬢だ。国同士の話は誰かに聞かなければ知ることが出来ない。私がここで悩んだところで何も出来ないに決まってる。


「テレシア、聞いたか?」

「何です?」


 そして夜のナイトパーティー。今日は先輩と二人、会場の端での警備となった。いつもガストン先輩と一緒になるが、まぁもうペアのようなものか。

 先輩はいつも噂をいち早く察知して私に話してくれるから、見た目と違ってお友達が多いのだろうな。筋肉ムキムキで普段無精ひげを生やしているのに。


「第二王子、ついさっき帰ったんだとよ。自国からのお呼び出しだってさ」

「……マジですか」


 第二王子が、もう帰ったですって?

 団長様が隣国の国王陛下に文書を送ったと言っていたけれど、その件でお呼び出しがかかったという事だろうか。お帰りが明日なのだから第三王女と共に帰ってきてから、ではなくいち早く帰国させた。

 という事は、それほど重要な要件でお呼び出しをかけたという事になる。

 商人を捕えている事も会話の中に出ていた。きっとあれは、私達が極秘任務で捕えた外国人商人の事なのかもしれない。団長様は、その外国人商人の裏に誰かがいるせいで第一騎士団が中々とらえる事が出来なかったと言っていた。

 極秘任務で潜入した屋敷に第二王子もいらっしゃった事と、こちらへの来訪が遅れた事、そして最後は団長様の、この国での〝旅行を満喫〟していた、という言葉。

 それを考えると、その裏にいらっしゃる方って……そういう事だろうか。

 いや、一端の騎士団員がそこまで首を突っ込んでいい案件ではない。これは国同士の問題だ。それにこれは憶測でしかないのだから。

 第二王子と手を組んでいた外国人商人が友好関係を築いていた我が国の令息に売ってはいけないものを売り、それのせいで事件を起こした。そんな事があったとしても、私はただの派遣された女性騎士団員。なら団長様の言いつけ通りその第二王子を視界に入れないように努めなくては。

 ……あとが怖いから。