騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!


 目が覚めると、知らないベッドに横たわり彼女を抱きしめていた。

 いきなり彼女が起き出した時には、狸寝入りを決め込んだが……危うく笑いそうになってしまった。


「……くくっ」


 彼女が出かけ、静かになった部屋を見渡した。女子寮の部屋は初めて見たが……ここまで狭いものだったか。

 だがまさか、ドレスも宝石も嫌いなご令嬢がいたとはな……

 ご令嬢でなくとも、女性なら好きなのでは……とも思ったが、それは彼女にとっては失礼か。考えを改めよう。


「……欲しいな……」


 自分がここまで欲しがりだとは思わなかったが……それほどまでに、自分にとって彼女は魅力的に見えたのか。

 まさか、自分にもこの感情が残っていたとは驚きだ。だが、残っていて良かったと、思っている。


「さて、テレシアは無事に間に合ったかな」


 私のせいで怒られてしまうのは忍びないからな。確認は必要だ。……という建前を考えつつもドアを施錠した。


 彼女の感情は、私にまで感染させる。

 自分の知る令嬢とは全く違う彼女に魅せられ、手を伸ばせば逃げてしまうけれど、それすらも可愛らしい。

 捕まえて閉じ込めておきたい欲に駆られるが、きっと彼女はそれを破って出てしまい戻ってこないだろう。そして……二度と目を向けてくれる事はない。

 そう思えば、彼女の目に私はどう映っているのかという不安、そして焦りを覚える。

 そして、それと同時に、誰かに触れられてしまったことへの妬みが生まれてくる。

 剣を抜いてしまえば全て解決する。それならばと剣を握っても、それを許さない彼女の一言に手を離してしまう。

 〝テレシア〟という極上の果実を目の前にすれば、らしくないことまでしてしまう。他のものなどどうでもいいとまで思ってしまう。

 それなのに、ここまで幸福感を覚えるとは思わなかった。ただ、テレシアさえいればいい、と思ってしまう。


「早く護衛に戻らなきゃ!」

「だから、それは副団長に任せたと言っただろう。気にしなくていい」

「何言ってるんですか近衛騎士団長様っ!」


 あぁ、可愛らしい。食べてしまいたいくらいだ。

 絶対に……――誰にも触れさせたくない。