騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!


「っっつぅ……」


 目が覚めた。頭痛で頭がぐわんぐわんする。昨日はだいぶ飲みすぎてしまったらしい。

 頭を押さえつつ、上半身を起こした……けど、何かがおかしい。どうして私、服を着ていないのだろうか。

 二日酔いの頭を動かしつつ電気の付いていない私室を見渡す。乱れたベッドに、周りに散乱する服。その量の多さに危機感を持ち、そして恐る恐る隣に目を移し……絶望した。

 同じく何も身に付けていない、黒髪の男性が一人いらっしゃった。

 現実逃避したい気持ちで目を逸らしてしまったが、ちょっと待て。


「鍛錬っ!!」


 サイドチェストに置いている時計を凝視すると、サァァァ、と血の気が引いた。やばいやばいあと11分じゃんっ!!


「ぅあっ!?」


 布団を引っぺがしベッドから飛び出ようとすると足を滑らせた。


「いったぁ……」


 床に散乱していた服の一枚を踏んでしまったらしい。ベッドに手をかけつつも打ったお尻をさすり部屋に設置してあるクローゼットの方へ。そして勢いよく全開させ、私の騎士団員の制服を引っ張り出した。

 ここから鍛錬場まで……最短ルートで走れば5分だ! いける! 2分の余裕を残して5分で移動だと4分残る! 4分で支度しなきゃ!!

 頭をフル回転させつつ準備を急いだ。床に散らばった男性用の服とベッドには目を向ける暇なんてない。いや、むしろ向けたくない。


「よしっ!」


 最後にハニーブロンドの長髪を高く結び、支度を全て終わらせて女子寮の部屋のドアを開けた。だけど、ハッと気が付いた。ここで鍵をかけると、ベッドで寝ている人が帰れなくなる。


「ん~~~~~~……」


 しょうがない、かけないでおこう。

 まぁ、半分は現実逃避で考えるのを諦めたというだけなんだが。とりあえず、早く行かなきゃ!!

 と、鍛錬場の方まで足を速めた。

 けれど、思い出した。寸前に見えた、床に散らばった服のうちの一枚を。いや今はそれどころじゃない!