「本いっぱいあるね」
読書感想文を終えてお菓子を広げていると、綾がマジマジと本棚を見ていた。
「ああ……まぁ」
「心理の本が好きなの? 1番多いけど」
「……ん。興味あるけん」
「へー」と言いながら本棚を見上げる綾に、内心ヒヤヒヤしていた。
悟られてはいけない。綾が、本当は心の病だと言うことは。
「ねぇ京」
「ん?」
「あそこ。何であそこだけ本がないの?」
綾がジッと見てるのは、びっしり本が並ぶ本棚で、唯一隙間があるところだった。
「……あぁ、親父に貸したけん」
「お父さん? そうなんだ」
……嘘だよ綾。
ごめん。そこには、アルバムがあっちょーよ。
昔よく一緒に見た、俺と綾の思い出。俺はそれを、燃やして灰にしたんだ。
昔の思い出なんかいらん。大事なのは、これから。
そう思うんに、何でかな。
俺が覚えちょることを綾が覚えちょらんことが、ひどく切なくて。
涙が出そうになるんだ。



