神獣の花嫁〜あまつ神に背く〜

人差し指と親指で輪っかをつくって見せる瞳子に対し、首を傾げる。てっきり、菜っ葉の仲間かと思ったが、花の類いだったか。

「まぁアンタ、花には興味なさそうだもんね」

ぷっ……と、噴き出してみせたあと、瞳子が真顔に戻る。

「確か……根が張って繁殖力も高いから、こういう斜面に植えると土砂崩れを防ぐ効果もあるって、聞いたことがあったんだけど。
“陽ノ元”には、ないのかな?」
「いや、オレが知らないだけで、ある可能性も」
『──()……(あるじ)

地中から、ためらいがちな声がかかる。ジンだ。昔の呼び方の癖が抜けないらしい。
なんだ、と、うながせば、ボソボソと聞き取りにくい声が応える。

妙子(たえこ)に……訊いてみようか?』
「妙子か。そうだな、頼む」
『御意』

短く応えたジンが、地脈を伝って妙子の元へと行く。
ややしばらくののち戻ったジンによると、妙子がいうには集真藍(あづさあい)ではないか? とのことだった。

「……集真藍か、なるほど」

双真の頭にも、瞳子の説明と合致した植物が浮かぶ。梅雨時期に咲く色の移ろう花だったか。

『主。一刻ほどくれ。妙子から集真藍のある場所を聞いた。株ごと持ってくる』