「それにしても……刃──ジンに、妬きますか?
あれ、目つきの悪い不っ細工な熊みたいな猫ですよ? どう考えてもアレに恋慕の情は向けやしないでしょう」
私に対してならともかく……と、イチが鼻を鳴らす。
思えば、イチの美貌につられて『虎太郎』を足がかりに、粉をかけようとした女達は大勢いたものだ。
そんな過去を振り返ってか、イチの発言も解らなくもないが、瞳子に限っては、それこそ見当違いなのだ。
「……瞳子は、ケモノが好きなんだ。犬貴殿が来た時の瞳子の眼差しを覚えてないのか? 『萌え』が違う」
実際のところ、イチの名ばかり“眷属”ぶりに、半ば本気で犬貴の重用を咲耶に打診しかけたのを止めたのは、その部分に憂慮があったからだ。
(白虎様は犬貴殿を咲耶様に付けられて、よく平然としておられるな)
瞳子のことを、信頼しているいないの次元の話ではないのだ。要は──。
(ただの醜い独占欲だ)
我ながら狭量な男だとは思うが、仕方ない。心とは、自由で……不自由なものなのだから。
額を押さえ、息をつく。
到底、瞳子には言えるものではないし、態度にも出さないように気をつけるべきだろう。
パンッ、と。手を打ち鳴らされ驚いて顔を上げれば、イチが双真をうろんに見つめていた。
やれやれと言わんばかりの素振りで立ち上がる。
あれ、目つきの悪い不っ細工な熊みたいな猫ですよ? どう考えてもアレに恋慕の情は向けやしないでしょう」
私に対してならともかく……と、イチが鼻を鳴らす。
思えば、イチの美貌につられて『虎太郎』を足がかりに、粉をかけようとした女達は大勢いたものだ。
そんな過去を振り返ってか、イチの発言も解らなくもないが、瞳子に限っては、それこそ見当違いなのだ。
「……瞳子は、ケモノが好きなんだ。犬貴殿が来た時の瞳子の眼差しを覚えてないのか? 『萌え』が違う」
実際のところ、イチの名ばかり“眷属”ぶりに、半ば本気で犬貴の重用を咲耶に打診しかけたのを止めたのは、その部分に憂慮があったからだ。
(白虎様は犬貴殿を咲耶様に付けられて、よく平然としておられるな)
瞳子のことを、信頼しているいないの次元の話ではないのだ。要は──。
(ただの醜い独占欲だ)
我ながら狭量な男だとは思うが、仕方ない。心とは、自由で……不自由なものなのだから。
額を押さえ、息をつく。
到底、瞳子には言えるものではないし、態度にも出さないように気をつけるべきだろう。
パンッ、と。手を打ち鳴らされ驚いて顔を上げれば、イチが双真をうろんに見つめていた。
やれやれと言わんばかりの素振りで立ち上がる。



