瞳子たちと真向かいに座る、イチとの間の畳の上。袱紗に乗せられた三粒のそれを見やり、イチが告げる。
「これは“赤宝珠”と言って、新たな命を生み出すことのできる、赤い“花嫁”だけが得られる稀な力です」
「それって……双真の持つ『力』の代行ができるって、こと?」
咲耶から聞いた“花嫁”がもつ“神力”。
それは、“神獣”おのおのが司る“役割”を代行するもので、“神獣”に真名を伝えることができた“花嫁”のみが扱うことのできる、特別な力らしい。
(咲耶さんいわく、“神獣”本来がもつ『力』よりは、小さいものらしいけど)
“花嫁”の体力や気力から成るためか、相応分の力のようで、咲耶も使い始めの頃はよく めまいを起こしたらしい。
しかし、年々その威力の範囲は広く大きくなっているようだ、とも聞いた。
「厳密に言うと、違います」
ふたたび瞳子に目を向けたイチの赤い眼に、真剣な光が宿る。あまり節くれのないイチの指が、目の高さに赤珊瑚のような玉──“赤宝珠”をつまみ上げた。
「『生と懐胎を司る』……人間側から見た赤い“神獣”の“役割”です。
が、正しくは『生きとし生ける、あらゆる動植物に生きる力と新たな生命を授ける』……というのが、本来の“役割”となりますが、セキ様から聞いてますかね?」
「これは“赤宝珠”と言って、新たな命を生み出すことのできる、赤い“花嫁”だけが得られる稀な力です」
「それって……双真の持つ『力』の代行ができるって、こと?」
咲耶から聞いた“花嫁”がもつ“神力”。
それは、“神獣”おのおのが司る“役割”を代行するもので、“神獣”に真名を伝えることができた“花嫁”のみが扱うことのできる、特別な力らしい。
(咲耶さんいわく、“神獣”本来がもつ『力』よりは、小さいものらしいけど)
“花嫁”の体力や気力から成るためか、相応分の力のようで、咲耶も使い始めの頃はよく めまいを起こしたらしい。
しかし、年々その威力の範囲は広く大きくなっているようだ、とも聞いた。
「厳密に言うと、違います」
ふたたび瞳子に目を向けたイチの赤い眼に、真剣な光が宿る。あまり節くれのないイチの指が、目の高さに赤珊瑚のような玉──“赤宝珠”をつまみ上げた。
「『生と懐胎を司る』……人間側から見た赤い“神獣”の“役割”です。
が、正しくは『生きとし生ける、あらゆる動植物に生きる力と新たな生命を授ける』……というのが、本来の“役割”となりますが、セキ様から聞いてますかね?」


