なごり惜しいのと当人の許しもあることから、双真は寄せられた細い肩を抱き、瞳子をのぞきこむ。
瞬間、はっとしたように、瞳子は双真の身体を押し返し、かしこまるように座り直した。
「そう、私──アンタの“花嫁”として、やるべきことをやらなきゃと思って。その、真名は伝えられた訳だし、次の段階に進めるのよね?
何か、私にできることってない?」
真正面から向けられる、強い意志をもった眼差し。
まっすぐ過ぎる責任感は、比類なき赤い“花嫁”としての活力となる。
(ああ、イチが最初にオレに言っていたことを思いだすな)
「いいですか? 赤い“神獣”の“花嫁”は、どこの国の御方も、当の“神獣”サマ本人が愛情を注いでいればそれで十分、“役割”は果たせます。
“神獣”サマから愛されるのが“役割”のようなものなので」
だから、貴方は貴方に見合う“花嫁”を迎えればいいんです、簡単でしょう? と。
“神獣”に【戻る】ことを渋る双真に、諭すように言っていた。
(だが、オレの迎えた“花嫁”は──)
双真の顔に、笑みが浮かぶ。まるで自分のことのように、誇らしい心地で愛しの“花嫁”を見つめ返した。
瞬間、はっとしたように、瞳子は双真の身体を押し返し、かしこまるように座り直した。
「そう、私──アンタの“花嫁”として、やるべきことをやらなきゃと思って。その、真名は伝えられた訳だし、次の段階に進めるのよね?
何か、私にできることってない?」
真正面から向けられる、強い意志をもった眼差し。
まっすぐ過ぎる責任感は、比類なき赤い“花嫁”としての活力となる。
(ああ、イチが最初にオレに言っていたことを思いだすな)
「いいですか? 赤い“神獣”の“花嫁”は、どこの国の御方も、当の“神獣”サマ本人が愛情を注いでいればそれで十分、“役割”は果たせます。
“神獣”サマから愛されるのが“役割”のようなものなので」
だから、貴方は貴方に見合う“花嫁”を迎えればいいんです、簡単でしょう? と。
“神獣”に【戻る】ことを渋る双真に、諭すように言っていた。
(だが、オレの迎えた“花嫁”は──)
双真の顔に、笑みが浮かぶ。まるで自分のことのように、誇らしい心地で愛しの“花嫁”を見つめ返した。


