ふいに、瞳子は双真のことを思い浮かべた。もし、彼が樋村と同じ状況になったとしたら、やはり、同じように瞳子の手を放すだろうか───?
「私は、それでも……私にどうしたいか、訊いて欲しかった。あんた一人で自己完結しないでね。
だって、私の幸せは、私が決めることよ」
いつも自己完結していた樋村。優しくなかった訳じゃない。むしろ逆だ。唯一の肉親を失って傷心の瞳子を気遣い、寄り添ってくれていた。
(図々しいくらいに土足で人の心に入り込んできた)
嫌いじゃなかった。少なくともあの時の瞳子には、そのくらいの勢いで踏み込まれなければ、他人と関わることはなかったから。
───たとえ、恋愛感情はなくとも。樋村に、感謝していた……偽りの裏切りさえなければ。
「あんたに、私とやり直す機会はない。双真との不公平さもない。二人には……同じだけ、私との時間があったと思うから」
(そうだ。双真ならきっと……訊いてくれる)
瞳子の未来を案じつつも、瞳子がどうしたいかを……そして、自分の想いを伝えてくれる。
(バカみたいに、じれったいけど)
思えば初めて会った日にも、どうする? と、瞳子に選択肢を与えてくれた。
「私は、それでも……私にどうしたいか、訊いて欲しかった。あんた一人で自己完結しないでね。
だって、私の幸せは、私が決めることよ」
いつも自己完結していた樋村。優しくなかった訳じゃない。むしろ逆だ。唯一の肉親を失って傷心の瞳子を気遣い、寄り添ってくれていた。
(図々しいくらいに土足で人の心に入り込んできた)
嫌いじゃなかった。少なくともあの時の瞳子には、そのくらいの勢いで踏み込まれなければ、他人と関わることはなかったから。
───たとえ、恋愛感情はなくとも。樋村に、感謝していた……偽りの裏切りさえなければ。
「あんたに、私とやり直す機会はない。双真との不公平さもない。二人には……同じだけ、私との時間があったと思うから」
(そうだ。双真ならきっと……訊いてくれる)
瞳子の未来を案じつつも、瞳子がどうしたいかを……そして、自分の想いを伝えてくれる。
(バカみたいに、じれったいけど)
思えば初めて会った日にも、どうする? と、瞳子に選択肢を与えてくれた。


