“好きって”、と口が音を出さずにうごいて、ドキッとした。
それは、ラブメイトだから、なのかな……。
わたしも、体の変化を感じられたら、塁くんみたいな気持ちになってたのかな?
「今日は、いろいろ回るから。楽しみにしてて」
「う、うん……っ」
塁くんはわたしを見て、目を細めるように笑う。
それから、いちばん最初に車が停まったのは、どうぶつ園の前だった。
「いまはライオンの赤ちゃんがいるんだって。見に行こう?」
「ライオンの赤ちゃん!? 見たい見たい!」
キラキラと目をかがやかせると、塁くんはにっこり笑ってわたしの手を取る。
休日だから人がいっぱいいて、はぐれないように歩くにはそれが正解だったのかもしれない。
2人でライオンのおりの前に行くと、ちいさくてころころしたライオンの赤ちゃんがうごき回っていた。



