『わたし、ここすき!』
『っ……このはって、かわいいな』
すこしおどろいたような顔をした男の子は、にこっと笑ってそんなことを言った。
『また、のぼるのたすけてやる。おれはかげとら。このははとらってよんでいいぞ』
『うんっ、とらくん!』
それが、わたしとトラにぃの出会いだったんだ――。
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「ん……なんか、なつかしい夢、見た気がする……」
ほんのりと明るい部屋で目をさましたわたしは、ぼーっとつぶやいて、まくらもとのデジタル時計を見る。
7時12分……遊馬くんとの待ち合わせは、10時だったっけ。
時間はたっぷりある。
ゆっくり準備をしよう。



