「僕は寺井優生」
「はあ、寺井さん……」
「優生って呼んでほしいな」
「優生、さん……」
って、ちょっと待ってちょっと待って!
男の子を名前呼びなんてだめだよ!
このひと、キケンすぎる!
なんだか流されちゃいそうな、ケイカイ心を思わずといちゃうような雰囲気が……!
「て、寺井さん、だいじょうぶならわたし、急いでるので……!」
「名前で呼んでくれないの?」
寺井さんは眉を下げて、捨てられた子犬のような、とても、とてもかなしそうな目でわたしを見つめてくる。
そんなふうに見られたら、名前で呼んであげなきゃって思うじゃん……!
「う、優生さん……」
「ありがとう」



