「だれか、大人のひとを呼んできます……!」
「待って、へいきだから。調子、よくなってきたみたい」
聞き心地のいい声で言われたことがほんとうかどうかたしかめようとして、男の子の顔に視線をもどした。
てっきり顔色がわるいままだと思っていたのに、たしかに血色がよくなってる……ような?
それよりも、男の子が浮かべているほほえみがキラキラとして見えて、ドキッとする。
「ねぇ、きみの名前は?」
「え、し、白山、好羽です……」
つい答えてしまってから、しまった!と反省した。
男の子に自己紹介しちゃうなんて……!
きれいな顔をした男の子は、「好羽」とくりかえすようにつぶやいて、やわらかく目を細める。



