とにかく立ち上がろうとすると、わたしに背中を向けていた男の子がふり返って、ぱしっとわたしの手首をつかんだ。
おくれて、さらさらの金髪のあいだからのぞく、目じりが下がった瞳と視線がまじわる。
すこし青白い肌に、目や眉毛、鼻、口がバランスよく配置されていて、絵画みたいにととのった顔をしている。
線が細くて体がうすいからか、散っていく桜のような、はかない雰囲気があった。
こんなにきれいなひと、初めて見た……。
つい見惚れて、色素のうすい瞳をじぃっと見つめてしまう。
「きみ、は……」
黒目が大きく開いて、フルートの音色のような声がこぼれおちた。
その声を聞いて、ハッと我に返ったわたしは、手をふりほどいて距離を置きながら、目をそらす。
あぶないあぶない、きれいな顔だからつい見つめちゃう……!



