「……好羽さん?」
わたしを呼ぶ声が聞こえたのは、右のほうから。
そっと顔を向けると、教室のとびらの前に、尽くんが立っていた。
尽くんは目が合ってすぐ、わたしのほうへ歩いてくる。
「だいじょうぶですか? 好羽さんのこと、心配だったんです」
メガネごしに、気遣うような視線を向けられて、胸があたたかくなった。
「あ……うん、だいじょうぶ。心配してくれてありがとう、ごめんね」
尽くんは優生さんと仲良しみたいだけど……あの場にいたひとのなかで、ゆいいつ、わたしのラブメイトじゃない男の子なんだよね。
あの4人と顔を合わせるよりも、気がらくだな。
「いえ。元気になったのならよかったです。好羽さんが笑顔でいてくれると、おれも……」
「……?」



