「ご、ごめんなさいっ……! だいじょうぶですか……っ!?」
「うん……だいじょうぶです……」
うずくまった体勢の男の子から、すき通ったきれいな声が聞こえる。
彼の背中をおおっているのは紺色のブレザー。
始業式が始まるぎりぎりの時間をねらって家を出たから、ひとには会わないと思ったけど……もしかしておなじ学校のひとかな?
男の子とはかかわりたくないけど、ぶつかって、しかも体の上にたおれこんじゃったのに、それじゃあ失礼します!なんて言えないよね……。
「こちらこそごめんなさい……こんなところで、じゃまですよね……ちょっと体調がわるくて……」
「えっ」
そんなひとにぶつかって、しかもたおれこんじゃったの!?
たいへん、相手は男の子とは言え、なんとかしないと……!
「なにか、胸が熱く……」
「わ、わたし、ひとを呼んできましょうか!? それとも救急車!?」
「――待って……!」



