「そう……そう、そんなことがあったのね……だいじょうぶ、だいじょうぶよ」
「お母さん、わたし忘れられちゃうのっ……!? みんなに、お母さんにも……っ!」
「だいじょうぶ、きっとだいじょうぶ。おばあちゃんたちにほかの方法がないか聞いてみるわ」
お母さんは何度もだいじょうぶとくりかえした。
わたしはうなずいて、涙をぬぐいながらおばあちゃんとおじいちゃんのことを思い浮かべる。
そもそも、わたしがこののろいにかかったのは、3年前におばあちゃんたちの雑貨屋さんへあそびに行ったのが原因だった。
わたしのおばあちゃんとおじいちゃんは、おなじ市内のちがう区で、いわくつきのこっとう品を売り買いしている。
毎日見るとちょっとずつ自分がきれいになるかがみとか、引き出しの順番が入れ替わるタンスとか、そういうもの。



