「このちゃん」
トラにぃの胸から顔をそらしていたら、手をつながれる感触がした。
うしろを見ると、遠野くんがわたしの手をにぎって、まぶたが半分下りた目をまっすぐこっちに向ける。
「ほんとうのラブメイトは僕だよ。体の変化がわからなくても、心は通じ合える。だから、僕と付き合おう」
「え……」
ぴたりと、体が硬直した。
そんなわたしの、背中まである髪をすくいあげたのは、遊馬くん。
「いーや、俺の仔猫ちゃんが好きになるのは俺だよ。俺と付き合おう? 仔猫ちゃんのこと、たくさん知りたいな♪」
毛さきを口元まで運んで、ちゅっとキスをするようすを、ぼーっとながめる。
「ラブメイトだってうそをつくやつらの口は軽いな。俺は気持ちをともなって言える」



