「と、トラにぃ! 離して!」
「なに、あいつら?」
「あとで説明するから! とりあえずいまは離して!」
「やだ」
やだって……!
そうだった、トラにぃってマイペースで、いじわるなときがあるんだった……!
わたしはあせりながら、あっちを見てこっちを見て、どうにか逃げ出せないか考える。
でも、わかるのは周囲の生徒の注目を集めていることだけ。
どうしてこんなに見られてるの……!?
「さきに帰っちゃうなんてつれないね、俺の仔猫ちゃん?」
「このちゃん、理事長室、こっちじゃないよ」
「はぁ……っ、はぁ……っ」
「優生くん、だいじょうぶですか!? あの、好羽さん、優生くんの話を聞いてあげてほしいんです……!」



