「トラにぃ……!?」
「……好羽?」
紫色の髪をかきあげた、つり目のイケメン。
最後に会ったときからずいぶんと体格がよくなったその男の子と目が合って、わたしは思わず足を止めてしまった。
ひさしぶりだ! トラにぃだよ!
「おまえ、好羽か?」
トラにぃは目を大きく開いて、周りにいる男の子たちをかきわけながらこっちに向かってくる。
「うん! そうだよ!」
「おー、ひっさしぶりだなぁ。好羽もうちに通ってたのか?」
幼稚園からの幼なじみであるトラにぃは、にかっと笑ってわたしの頭をぐしゃぐしゃになでた。
髪がぼさぼさになるのを気にしながら、わたしは笑みをこぼして「ううん、今日から」と答える。
まさか、女子校に転校してからめっきり会わなくなったトラにぃと、いまになって再会するなんて。



