理事長先生の言葉をさえぎるように、うしろのほうからかっこいい声がひびいた。
みんなが思わずといったようにふり返るものだから、わたしもちらっとうしろのほうを見る。
遠目に見えたのは赤色の頭だけ。
「はい、おはようございます。先生に聞いて、自分の席に座ってくださいね」
理事長先生の声が、スピーカーを通して体育館にひびいた。
だけどわたしの周りではざわざわと、「遊馬くんだ……!」なんていう女の子たちのうれしそうな声が聞こえてくる。
遊馬くん……どこかで聞いたような名前だなぁ。
「在校生のみなさん、今年はあたらしく入ってくる生徒がたくさんいますが、真心を持って支えてあげてくださいね」



