「遠野くん、知らないの? 理事長先生の孫だよ。遠野くんが言えばその通りになるから、あなたはとなりの席に座って」
「り、理事長先生の孫……!?」
理事長先生って、この学校を創ったひとだよね?
しかも、すんごいお金持ちってうわさの。
遠野くんってお坊ちゃんだったの……!?
それに、“遠野くんが言えばその通りになる”って……。
「ふわ~ぁ……なんか、熱い……」
もぞもぞと体を起こし始めた遠野くんを見て、もう一度女の子を見ると、空席を指さして“ほら”と口パクで言われた。
わたしはしぶしぶ、遠野くんのとなりのイスを引いて、席に座る。
でも落ちつかなくて、ちらちらとなりを見ると、遠野くんの顔が見えた。
「胸がヘン……」



