「あの、起きてもらえる? そこ、わたしの席だからとなりに移ってほしいな……」
「……」
「あのー、遠野くん?」
ぐっすり寝てるのかな……。
ぜんぜん反応がないや。
しかたなく、肩に手を置いて軽くゆすってみると、ようやく遠野くんから「ん……」と気だるげな声が聞こえる。
「なに……?」
「あ、おはよう。起こしてごめんね。そこわたしの席だから、となりに移ってもらえないかな……?」
「んー……」
あまりにも眠たそうな声をしてるから、もうしわけなく思いながら用件を伝えると、遠野くんはすこしだけ頭をうごかした。
「じゃー、ここが僕の席って先生に言っておいて……」
「え? でも……」
先生に言っておいて、って言われても。
席替えなんて認められるわけないし。
移動してくれないとこまる、と立ち尽くしていたら、さっきの女の子が小声で話しかけてきた。



