「僕のために……じゃ、ないよね?」
「その答えは、むずかしいです……わたしはどうしても、優生さんを助けたいから」
まだのろいがとけてないから、優生さんに“好き”って言うことはできない。
だから、みんながこれまで伝えてくれたみたいに、視線で伝わればいいなと思って、きんちょうとともに優生さんを見つめた。
優生さんは息を飲んで、唇を引き結ぶ。
それから、わたしのほおに手をのばして、熱い、熱い視線をまっすぐわたしに向けた。
「僕のお姫さま。大好きだよ」
まちがいなく、気持ちがこもった言葉。
これで、13回目。
ふいに、右手の甲が熱くなって、「あつっ」とアザを押さえる。
熱が引いてからそっと手を離して右手の甲を見ると、そこに咲いていたバラはあとかたもなく消えていた。



