その横顔を見上げると、トラくんは唇のはしを持ち上げて、わたしの頭から手を離した。
周りの大人たちが“お兄ちゃんみたいだね”って言うから、わたしはだんだんトラくんをお兄ちゃんとしか見れなくなったんだ。
むかしは、お兄ちゃんみたいだな、なんて思ってなかったのに。
それをすこし思い出して、わたしの胸はちくりと痛んだ。
でも、トラくんの背中から目を離して、わたしは保健室に向かう。
一歩一歩、優生さんに近づいてると思うと、だんだん早足になって、最後はかけこむように保健室のとびらを開けた。
「優生さんっ」
「ん……好羽、ちゃん……?」
優生さんは、保健室の奥のベッドで横になっていた。
先生はお昼を食べているのか、どこかに行ってるのか、姿が見えない。
ベッドに近づくと、優生さんはしんどそうに体を起こした。



