教室のなかから、がやがやとひとの話し声が聞こえる。
まばらにいる生徒と距離を置きつつ、3階まで上がってきたわたしは、自分の教室をさがしてろうかを歩いていた。
2年3組、2年3組……。
あ、あった! あそこだ。
「ねぇクラス表見た? 遊馬くんとおなじクラスだよ……!」
「見た見た! きゃ~っ!」
教室に入ってすぐ席順表をかくにんすると、わたしの名前はろうか側から2列目の、いちばんうしろの席に書かれている。
この席なら教室への出入りがしやすい! やった!
ほおをゆるめながら、となりの席のひとの名前をかくにんすると、遠野塁と書かれていた。
女の子だといいけど……どうかな?
いったんろうかに出て、うしろの扉から教室に入ると、わたしの席には先客がいた。
灰色がかった青いくせっ毛の髪をした男の子が、自分の腕をまくらにするように、つくえに伏せっている。



