【短編】虹色に願う放課後

少し心配だった。オタクモードを見ているとはいえど、放課後はボーッとしてるイメージが強かったから。

だけど、ものの数分でマスターし、バーコードスキャン以外はテキパキとこなしている。


さすがは優等生。2学期に入ったらファンの人から推薦されたり、なんてね。



「あのさ、どうして図書室の窓から観察してるの？」



仕事の話をするふりをして、こそっと質問を投げかけた。

はじめは気が引けていたが、同い年というのもあり、昨日からタメ語で話している。



「どうしてって、外だと濡れるからだよ」

「いや、そうじゃなくて。教室じゃダメなの？　1人のほうが集中できない？」

「鍵返しに行くの面倒くさいじゃん」



静かな環境や集中力よりも、効率優先らしい。



「外で観察するのは曇りの日かな。晴れだとすぐ汗だくになるから」

「へぇー。まぁ、気持ちはわからんでもないけど、ここは基本、本を読む場所だから。お客さん少ない時はいいけど、滞在するなら勉強するか1冊くらい本読んで」

「はーい」