月島家のお守り四つ子~イケメン女子でも可愛いものが好きなんです!〜

 相手が腕を振り上げていたこともあって、しっかりと狙った場所に当たり男がうめいた。
 警棒はそのまま振り下ろされたけれど、痛みで勢いが弱まっていたのか力は入ってない。
 私は打ち込んだ竹刀の構えを変え、振り下ろされた警棒を受け流した。

「なっ!?」

 驚く男の脇腹に、もう一度打ち込む。
 けれどまた食らいたくないと思ったのか、男は私の竹刀を避け開いている窓から外に出る。ここは一階だから、ケガもなく地面に降りた。
 そのまま逃げてくれるのならよかったんだけど、外に出た男は体勢を立て直しただけだったみたい。
 探るように私と望ちゃんを見てる。
 あの不審者、まだ望ちゃんをあきらめてないみたい。
 唇を引き結んで覚悟を決めて、私も外に躍り出た。
 また構えて、呼吸を整える。ほどよい緊張感に気持ちが引き締まって、相手の男に集中する。
 剣道の感覚を思い出し、私は「行きます」と短く宣言して足を進めた。

「くっ! なんなんだよ!? お前本当に中学生か!?」

 手の甲、小手の辺りをねらい警棒をまず落とすと、男が叫んだ。
 痛みと驚きで歪んだ表情をしてる。
 私はそれに答えず、次々と技を繰り出した。
 防具を着けていない相手と戦うのは変な感じがしたけれど、望ちゃんを守りたいって気持ちで突き進む。

「まいった! 降参だ! 月の巫女はあきらめるから!」

 最後には地面に倒れた不審者。待て、と言うかのように片腕を上げて手のひらを私に向けていた。
 そう言っておいて私が油断したスキをついてくるかもしれない。と思いながら男を見下ろしていると、こっちに走って近づいてくる複数の足音が聞こえる。