ハニー＆クールな双子は再会した幼馴染みを愛しすぎている

「なんだろ？　あれじゃあ通れないね」


　困るなぁと思いながら見つめていると、その塊から声が聞こえてくる。


「どういうことなのか説明して！　名倉くん！」


　その名前にハッとして注目してみると、塊の中心には名倉先輩がいた。


「説明もなにも……デタラメだよ」


　何かの言い訳をしているらしい名倉先輩の顔は真っ青だ。

　いつもの爽やか王子の仮面なんて欠片もない。


「デタラメって……じゃあ私のことが大事だって言ったのは本当なのね!?」

「なによそれ、私もまったく同じこと言われたわよ!?」


　ギャーギャーと女子生徒がケンカを始める。

　すると今度は体格の良い男子生徒が名倉先輩に詰め寄った。


「じゃあ俺の彼女に手を出したのは？　泣きながら、弱みを握られて拒絶出来なかったって言ってたぞ？」

「そ、それは……その、俺の方が騙されたんだ！　辛いからなぐさめてって！　彼氏がいるなんて聞いてない！」


　青い顔のまま必死に言い募る名倉先輩に、男子生徒は鬼の形相になって怒り出す。


「あいつはそんな騙すなんて器用なこと出来る女じゃねぇんだよ！」

「ひぃっ!?」


　今にも殴りかかりそうな男子生徒から逃げるように、後退りする名倉先輩。

　そんな名倉先輩をまた別の女子生徒が掴んでひきとめ、何かを叫んでいた。