蒼くんの前で吐き出してしまったことが悔しくて、情けなくて、恥ずかしくて……。
このまま大泣きしてしまいそうだった。
でも、静かな……ハッキリした声が突然私の耳に届く。
「俺は、好きだけど」
「え?」
好きって、なにが?
ほのかに恋心を抱いている相手に『好き』なんて言葉を投げかけられたら、どういう意味か分からなくてもドキッとしてしまう。
跳ねた心臓のせいで、涙は溢れる前に止まる。
蒼くんの大きな手が、ゆっくり私の頬を包んで上向かせた。
真っ直ぐに交わされた視線は、とても真剣で――強い意志が込められているように見える。
「俺は、奈緒の全部が好き」
「え……」
突然の告白に、涙は完全に止まる。
言葉の意味を咀嚼して理解するヒマも無く、蒼くんは言葉をつなげた。
「五年前から――いやもっと前から、かわいい奈緒が好きだった。物心ついたときから一緒にいて、大事な存在で」
普段はほぼ無表情の蒼くんの顔が、柔らかく、甘くなる。
「俺、転校して色々あったせいで人間不信になったけどさ……奈緒は、五年経っても俺の好きな奈緒だった」
「蒼、くん……」
甘くなった顔が、ゆっくり近づいてくる。
ドキドキと早まる心臓の音が聞こえちゃうんじゃ無いかと思った。
しかも蒼くんは、私の頬を包んでいた手を少しずつずらして耳裏に梳き入ってくる。
このまま大泣きしてしまいそうだった。
でも、静かな……ハッキリした声が突然私の耳に届く。
「俺は、好きだけど」
「え?」
好きって、なにが?
ほのかに恋心を抱いている相手に『好き』なんて言葉を投げかけられたら、どういう意味か分からなくてもドキッとしてしまう。
跳ねた心臓のせいで、涙は溢れる前に止まる。
蒼くんの大きな手が、ゆっくり私の頬を包んで上向かせた。
真っ直ぐに交わされた視線は、とても真剣で――強い意志が込められているように見える。
「俺は、奈緒の全部が好き」
「え……」
突然の告白に、涙は完全に止まる。
言葉の意味を咀嚼して理解するヒマも無く、蒼くんは言葉をつなげた。
「五年前から――いやもっと前から、かわいい奈緒が好きだった。物心ついたときから一緒にいて、大事な存在で」
普段はほぼ無表情の蒼くんの顔が、柔らかく、甘くなる。
「俺、転校して色々あったせいで人間不信になったけどさ……奈緒は、五年経っても俺の好きな奈緒だった」
「蒼、くん……」
甘くなった顔が、ゆっくり近づいてくる。
ドキドキと早まる心臓の音が聞こえちゃうんじゃ無いかと思った。
しかも蒼くんは、私の頬を包んでいた手を少しずつずらして耳裏に梳き入ってくる。



