「奈緒……」
表情はあまり動かないけれど、蒼くんが心配を滲ませた声で私の名前を呼ぶ。
これ以上心配させたくなくて、私は大きく息を吸って少し話題を変えた。
「それよりさ、蒼くん私が部室のドア開ける前に『待て』って止めたよね? 中の様子に気づいてたの?」
「ああ、それは……」
私の疑問に蒼くんはあからさまに眉を寄せる。
「中の様子に気づいたって言うか……前、奈緒に校内案内してもらったときあの先輩に会っただろ?」
「あ、そういえば……」
「あのとき、あいつの首辺りに出来たばかりのキスマークみたいなもの見えてさ……さっきも中にいるのがあの先輩っぽいって思ったら、なんか嫌な予感がして」
「そう、だったんだ……」
てことはもしかして、蒼くんに校内案内していた昼休みにもあんなことしてたかもしれないってこと?
本当に、クズだったんだ……。
改めてショックを受けてうつむいていると、蒼くんが私の顔を覗き込んできた。
冷たそうに見える黒い目が心配の色を帯びている。
「奈緒、あの部にいて大丈夫なのか? 奈緒も、あの先輩に狙われてるんじゃないか?」
「っ!」
聞かれて、思い出す。
そういえば、前に何度か部活がない日の放課後部室に呼ばれたことがある。
表情はあまり動かないけれど、蒼くんが心配を滲ませた声で私の名前を呼ぶ。
これ以上心配させたくなくて、私は大きく息を吸って少し話題を変えた。
「それよりさ、蒼くん私が部室のドア開ける前に『待て』って止めたよね? 中の様子に気づいてたの?」
「ああ、それは……」
私の疑問に蒼くんはあからさまに眉を寄せる。
「中の様子に気づいたって言うか……前、奈緒に校内案内してもらったときあの先輩に会っただろ?」
「あ、そういえば……」
「あのとき、あいつの首辺りに出来たばかりのキスマークみたいなもの見えてさ……さっきも中にいるのがあの先輩っぽいって思ったら、なんか嫌な予感がして」
「そう、だったんだ……」
てことはもしかして、蒼くんに校内案内していた昼休みにもあんなことしてたかもしれないってこと?
本当に、クズだったんだ……。
改めてショックを受けてうつむいていると、蒼くんが私の顔を覗き込んできた。
冷たそうに見える黒い目が心配の色を帯びている。
「奈緒、あの部にいて大丈夫なのか? 奈緒も、あの先輩に狙われてるんじゃないか?」
「っ!」
聞かれて、思い出す。
そういえば、前に何度か部活がない日の放課後部室に呼ばれたことがある。



