「ほら、座れよ」
「うん……」
ベンチは二人用なのに、クッションも置いてあるせいで少し狭い。
腕がくっつきそうなくらい近くて、少しドキドキしてしまう。
緊張して黙り込んでしまったせいで、なんだか変な空気になったのかな?
蒼くんも黙り込んでしまって静かになる。
日陰になっていて涼しい秘密基地で、しばらくの間二人で風の音だけを聞いていた。
そんな心地よさすら感じる沈黙を先に破ったのは蒼くんだ。
「奈緒は、さ。……あの名倉先輩ってやつのこと好きなのか?」
「え!?」
思ってもいなかった質問に思わず顔を上げると、蒼くんは硬い表情で真剣な目を私に向けていた。
「なんか、相当ショック受けてたみたいだし……」
「それは! 名倉先輩は王子様みたいに優しい部長だと思っていたし、演技力もあってすごいなとは思っていたけれど……あくまでただの憧れだよ!」
答えながら、その演技力は普段の優しい部長としても発揮されていたみたいだけど、と少し落ち込む。
「みんなにとっても、私にとっても憧れの存在で……だから、裏切られたような気分になっちゃったのかな」
名倉先輩はリエ先輩の『色んな女の子とこういうことしてるんでしょう?』って言葉を否定しなかった。
それどころか、リエ先輩みたいに簡単にカラダを差し出す人を楽だとかって……。
憧れなんて、一瞬で崩れ落ちてしまった。
「うん……」
ベンチは二人用なのに、クッションも置いてあるせいで少し狭い。
腕がくっつきそうなくらい近くて、少しドキドキしてしまう。
緊張して黙り込んでしまったせいで、なんだか変な空気になったのかな?
蒼くんも黙り込んでしまって静かになる。
日陰になっていて涼しい秘密基地で、しばらくの間二人で風の音だけを聞いていた。
そんな心地よさすら感じる沈黙を先に破ったのは蒼くんだ。
「奈緒は、さ。……あの名倉先輩ってやつのこと好きなのか?」
「え!?」
思ってもいなかった質問に思わず顔を上げると、蒼くんは硬い表情で真剣な目を私に向けていた。
「なんか、相当ショック受けてたみたいだし……」
「それは! 名倉先輩は王子様みたいに優しい部長だと思っていたし、演技力もあってすごいなとは思っていたけれど……あくまでただの憧れだよ!」
答えながら、その演技力は普段の優しい部長としても発揮されていたみたいだけど、と少し落ち込む。
「みんなにとっても、私にとっても憧れの存在で……だから、裏切られたような気分になっちゃったのかな」
名倉先輩はリエ先輩の『色んな女の子とこういうことしてるんでしょう?』って言葉を否定しなかった。
それどころか、リエ先輩みたいに簡単にカラダを差し出す人を楽だとかって……。
憧れなんて、一瞬で崩れ落ちてしまった。



