今の二人のことも知って、私の中で二人の存在が日に日に大事なものになっている気がした。

 このままこんな三人の関係が続いていくのかな? なんて思っていたある日のこと。

 部活が休みの日だっていうのに、私たち三人は部室棟の方へ向かっていた。

 今作っている小物の材料を明日までに用意しておきたくて、蒼くんと翠くんに荷物持ちを頼んで買い出しに行こうとしていたんだ。

 でも、必要なものを書き留めたメモを部室に置き忘れてしまった。


「ごめんね二人とも、でもメモを取りに行くのは私一人で良かったんだけど」


 余計な手間を取らせてしまったことを申し訳なく思ったけれど、翠くんも蒼くんも気にしてないと言う。


「いーの! 教室で待ってるだけなんてつまんないし」


 ふわふわの猫っ毛を抑えるように翠くんは頭の後ろで腕を組む。

 そして私を挟んで反対側の蒼くんが淡々と告げた。


「それに、一緒に行けばそのまま出られるだろ?」


 見上げると、切れ長の目は真っ直ぐ前を見ていて素っ気ない。

 でも、嫌がってるわけじゃ無いことはなんとなくわかった。

 私の前ではたまに昔の蒼くんの顔を見せてくれるけれど、普段はやっぱり基本的に冷たい。

 そんな冷たい蒼くんの心情も、最近やっと少しは読み取れるようになってきたかな。